建築家と建てるvol.4

「のびのびと暮らす、招きたくなる住まい」

ライトコートから自然光が差し込む心地よい空間づくり、招くことを中心に考えた遊び心のある暮らし

建築家と建てるvol.4は、建築家がクライアントである宮森夫妻の「どう暮らしたいか」を丁寧に掘り下げ、理想の暮らしを実現した片流れ屋根のスキップフロア。
今回は、クライアントの宮森夫妻、工務店の現場監督である株式会社アール・ワン中本所長を交えて4人でお話しさせていただきました。

写真左:株式会社アール・ワン 中本所長 / 写真中央:宮森様ご家族

自然を感じながら、人が集まる家に

交友関係が広く、人を招くのが好きだという宮森夫妻。人が集まれる広さと子供が騒いでもご近所を気にせず、安心して遊ばせられる環境を求めて家づくりを計画。広い空間で楽しそうに走り回る子供の姿を目にしながら、自慢の植栽に咲く花を摘んで室内に飾る日常。こだわりの客間を備え、週末は友人と庭でBBQを楽しむ「おもてなし」の心溢れるオンリーワンの住宅が完成。

ガラリと変わった建築家の印象

ご主人(祐司さん)

もともとハウスメーカーで建てようと思っていて、8割方プランも決まってたんです。一生に一度だから後悔したくなかったのと、半分興味本意みたいな感じで「建築家と建てる世界」も見たくなって。テレビで見るような奇抜な印象を持ってたんですけど、全然そんなことなくて。

たまたま北條建築事務所のサイトを見つけて。性能も間取りもこだわりを持って建てられそうだなと思って問い合わせをしたんです。お会いしてみたらドンピシャで、北條さんに惹かれたというか、帰宅後すぐに家でプレゼンしました。

北條

最初は祐司さんがお一人で事務所に来てくださって。懐かしいですね。
そうそう、建築家と建てる家って「見た目重視で住みにくいんじゃないか」ってよく言われます。

奥様(由佳さん)

私もお会いして「こういう方も建築家さんなんだ」って、イメージがすごく変わりました。上からではなくて、私たちのやりたいことを親身に聞いてくださるし、それを聞いた上で北條さんが分かりやすく丁寧に説明してくださる。無理矢理じゃない感じというか、信頼できる方だなって。

北條

「ここ気にされるだろうな」とか「ここは後で分からなくて不安になるかな」とか、頭の中でグルグル考えながら私も説明しちゃうと、結果、話が長くなっちゃって。毎回、打ち合わせ長かったですよね?
でも、心配を持って不安になって欲しくないという思いがあって。

ご主人(祐司さん)

長いときは4時間とかやりましたもんね。でも、毎回スッキリして終わるって感じ。

打ち合わせ以外でも、電話とかメールとかメッセンジャーですごくやりとりさせてもらって。「わからん事とか不安なことあったらすぐ連絡して」って常に言われてて、すごい安心感でした。

図面に描かれていない「想い」をカタチに

北條

計画の初期の段階で「これは、良い家ができるな」って感じました。ただ、予算面で苦しむかなというのはあって。ですが、そこは良い工務店さえハマれば実現できるという考えが私の中にありました。家づくりにおいて、工務店選びはすごく重要なんです。

ご主人(祐司さん)

基本的には北條さんにお任せで、信頼できる工務店さんを何社かご紹介いただいて。見積りの結果はもちろんですが、アール・ワンの永田社長にお会いしてみて、一本筋の通った絶対嘘をつかないタイプの方だなって思いました。

中本さんは本当にまじめで誠実で信頼できる。でも、ちょっと押しに弱そうな印象でした(笑) そのキャラクターのおかげで、腹を割って最後まで「ああしてほしい」「こうしてほしい」ということがお話ししやすかったですね。全部前向きに変換してくださるので、僕らとしてもありがたかった。

中本所長

監督は、お施主様だったり建築家さんの想いの詰まった家を形するという立場ですが、僕自身が作業をするわけではないので、その想いにズレがないように各専門業者さんにお伝えするんですけど。図面に表せないものを分かりやすく説明して、ひとつひとつ形にしていく「潤滑油」的な役割だと思っています。

北條

工務店の見積りって、図面に描いている内容をお施主様が思っている予算にすり合わせるのに技術がいるんです。永田社長は内容を工夫して、合わせていく意識がとても強い方なんですよ。我々としてはすごくご紹介しやすいんですが、それを引き継ぐ監督が大変な思いをするのは分かっているので。「どんな方が来るんだろう」って、すごく気になってました。

中本所長は与えられた仕事をまっとうするだけじゃなくて、それまでの経過とか、お施主様や私の思いを汲み取って「やっぱりここは、やったほうが良いだろう」ということを積極的に言ってくださったので、すごく嬉しかったです。常に誠実で積極的に「ここ要りますよね」というような姿勢で、分身のように感じていました。

中本所長

会社や職人、ひいては建築家さんだけが満足しているだけではダメなんです。お施主様に満足していただかないと仕事をしている意味がない。やっぱり要望や想いを聞いて、なんとか応えたいというのが一番。

商品(家)を買うのではなく、一緒につくり上げた満足感

北條

祐司さん(ご主人)が「良いクライアントの条件って何ですか?」って聞いてくださったときは、ドキッとしましたね。その質問が祐司さんの人柄を表しているような気がして。

ご主人(祐司さん)

そんな深いことは考えてなかったですけど(笑)
北條さんも中本さんも”一緒につくってる感覚を持たせてもらえる” そういう家づくりだったんですよね。

良い家をつくり上げるのって、建築家さんだけでも工務店だけでもなくて、施主側にも「考えるべきこと」とか「心構え」とか、できることがあるだろうなと思って。だから、日々、家をつくられているプロからみた良いクライアントの条件ってなんなのかな?って知りたくなったんです。

北條

私がいつも思うのは、施主(クライアント)と建築家と工務店はチーム。
施主というのは文字通りリーダーなんですよね。私はクライアントを評価する立場にはないですけど。今までたくさん設計をさせていただいた立場から見て、まず、施主が「自分が主体的につくる」という思いを持たないと良い家は絶対にできないんです。

「どういう暮らしがしたいかを明確に語れる」それが家づくりの原点。どこまで行っても我々はそれを受け止めて、自分の引き出しからどう応えるか。自分の思いを入れたり提案はしていくんですけど、何もないところに勝手に持っていくわけじゃないので。

ご主人(祐司さん)

ハウスメーカーの時は「商品の説明を聞いて納得して買う」って感じだったんですけど、北條さんとの家づくりは、商品を買ってる感覚は全然なくて。だから、注文建築なんだっていうのが身にしみて分かったというか。

「適当に注文だけして後はお任せ」みたいな感じだったら、僕らもきっと満足感がなかっただろうし。今回、満足できる家を建てられたことは、ひとつの成功体験になっていると思います。

建築家と建てた住まい

奥様(由佳さん)

一番気に入っているのは子供部屋ですね。何もない広いワンルームにしてもらって、コロナ禍で出かけられなかったりする時もずっと体育館みたいに走り回ったりプラレールで遊んだり。

「将来的にお金をかけるんだったら、最初から2部屋つくっておこう」って考えてたんですけど。コスト削減にもなるし、北條さんのお話しを聞いてて確かにそうだなと思って。これは、本当に壁をつけなくて正解でした。

北條

基本設計段階からあそこはワンルームでいいんじゃないかなと考えていて、一度ご提案したこともあったんです。

ですが、まずはご要望を聞くことが大事なので、壁も収納も入れて2部屋で設計したんです。けど、やっぱり予算のこととかもありますし、だんだんお会いするにつれて信頼関係もできていくので。

最初はやんわりのご提案でしたけど、時間をおいて受けて止めていただく下地ができたタイミングで、もう一度「建築家としてこう思っていて」というのをお伝えして、最終的に大きなワンルームに。

ご主人(祐司さん)

時間軸でしっかり考えて提案してくださって、家の打ち合わせをする中で我々も家のイメージがついてくるので、「確かにそうだな」って。

天井が高くて音も響くから、ここでギターを弾くとめっちゃ気持ちいいんですよ!この広さでも6畳用のエアコンで十分で、すごく快適です。

北條

祐司さんのスタジオにもなってるんですね。
子供部屋は将来的に性別のこともありますし、部屋のつくりは可変性を持たせておくことで後々好きにできる。「こうしておいて良かった」ということが経験としてあるので、入り口は2箇所設けて壁は付けないプランでご提案させていただきました。

断熱性は長期優良住宅の等級4に合わせているので、6畳用のエアコンで十分な性能なんです。

中本所長

たくさんの建築家さんとお仕事してきましたけど、北條さんはお客様に寄り添っているっていうのを僕もすごく感じてて、「この金額では無理」というのがなくて「他に方法ないかな?」と探って考えてらっしゃる方だなと思いましたね。現場の人間に対しても誠実で素晴らしかったです。